once again
「室長、遅くなりました。申し訳ありませんでした」

室長室で、難しい顔をした室長が、私が戻ってきたのを確認して、ドアまで早足で歩いてきた。

ドンッ

ま、また、壁ドンかい

「な、何を…」

「正直に話をしたら、咎めない。蓮に何を言われた?」

室長の顔が、少し動くだけでキス出来る位置にあった。

近い!近すぎます!顔!

「なな、何をですかっ?さっきも言ったじゃないですかっ!秘書の事でかなり気になってたみたいです。怪我させた事を。ただそれだけですっ」

勢いよく言ってみたけど、大丈夫かな…

「なら、いい。分かった」

室長はそう言うと、私から離れて行った。

た、助かった…

「申し訳ない、気がたっていてね…」

いつになく、室長の様子がおかしい事に気がついた。
いつもなら、こんな感じで私を迫ったりはしない…

「何かあったんですか?」

「いや、なんでもないんだ…仕事に戻ってくれ。10日間の仕事は溜まってるぞ」

「あ、はい。かしこまりました」

私は疑問に思いつつ、室長室を後にした私は専務室に戻った。

「高瀬」

「あ、はい」

部屋に戻ってすぐに専務に呼ばれた。慌てて部屋に行くと、

「涼香。どこに行ってた?匠のところか?」

「せ、専務。名前は気をつけて下さい。誰が聞いてるか分かりま…」

最後まで言わせてもらえず、専務は私の手を引っ張った。

「今日だけ、許してくれ。嬉しいんだ」

どこまで、幸せなんだろう。
私とせ、専務。
< 140 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop