once again
匠に、結婚の話をと言われ、内心焦っていた。

俺にはそんな気がなく、ただ責任と言うだけで夏帆さんと向き合おうと思っていたから。
ただ、会社の事があるから見過ごす事も出来ず。
そんなに急ぐ事なのか、時間をかけたかった、高瀬への気持ちにも整理をつけたかった。ただ、引っかかりだけが、その整理に歯止めをかけていた。

そして、今日もまた夏帆さんと会っていた。
これで何日目だ。
いい加減、疲れてきていた。

当たり前のように絡んでくる、夏帆さんが。
控えめでいろ、とは言わないが、好きでもない人から迫られるのは気持ちがいいものではない。

高瀬…

匠からは休んでるんだから、電話はするな、と言われていたが、声が聞きたかった。

そして、俺はかけてはいけない、と思いながら電話をかけていた。

だが、高瀬には繋がらなかった…、呼び出しはかかるが出る事はなかった。

何度かけても、答えは同じだった。
何故だろう?電話をかけながら、高瀬のマンションへと車を走らせていた。

そして、俺は見てしまった。
高瀬が高級車に、男性にエスコートされながら乗り込む所を…

あれは誰なんだ…
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