once again
ボー然と、走り去った車を見ていた。

誰だ?
運転手付きの高級車なんて…
しかも荷物を持っていた、明らかに高瀬の荷物であろう鞄を。

それから、どこをどう帰ったか覚えていない。
気がついたらベッドで寝ていた。
そして夢を見ていた、あの日の夢を。



「っ…んっ…」

そう、眼鏡を取ったんだ、そしてキスしたんだ、彼女に…
彼女?
あの時、耳の後ろに…

印象的だった、何度も髪をかき上げる度に、耳の後ろのほくろが。
何度もそこにキスをした、耳を啄むと、小さく声を上げた彼女が…

違う、夏帆さんじゃない…
思い出していた、夏帆さんの耳の後ろにはほくろはなかった。
髪もそんなに長くはなかった…
あの日の夜の彼女は、腰まである長い髪だった。そうだ…


そして、目が覚めた。

「…じゃ、誰なんだ…。高瀬、君なのか…」
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