once again
兄からの電話で、お前次第だと言われて、だいたいの想像はついた。

蓮さんに、話が出来ないまま、この話を進めてもいいのか、どうか。
今、蓮さんは今後の如月の動向を室長と考えている所だろう。

どうするか、決断を迫られていた。

そして、私は兄に連絡をした。

「兄さん?さっきの話なんだけど…」




コンコン

「はい」

「高瀬です。よろしいでしょうか?」

「り、高瀬?ちょっと待ってく…」

ガチャ

蓮さんが言葉を終える前に室長が、扉を開けた。

「今、君と話している時間がない事は、一番高瀬、君が分かってる事じゃないのかな?」

「匠!」

蓮さんが、室長の肩を持って後ろに下がらせた。

「蓮、いや社長、女の事で如月を潰すつもりですか!」

今まで見た事のない、室長の焦り、怒りだった。

「匠、彼女は関係ないだろう。この事は、俺の責任だ」

そして、蓮さんも引かなかった。
全ては自分が悪い、と。

あぁ、私はこんな人だからこそ、好きになったんだと。

黙って立っている私を見て、また室長が再熱した。

「高瀬、今は帰れ。それどころじゃない。それとも、園田さんとの結婚をしてSEIWADOとの取り引きを勧めてくれるつもりで、来たのか」
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