once again
駐車場に停めてある車の前で、立ち止まった。
そして、ドアの前で頭を下げ、声をかけた。

「よろしいですか?高瀬社長」

ガチャ

「あぁ、そうやって立ち振る舞いを見ていると、秘書みたいだな。涼香」

「はい、如月商事の専務秘書ですから」

「ハハハッ。そうか、分かった。行こうか?園田、今日はお前の出る出番ないかもな」

「そ、それは困りますよ。高瀬社長」

運転席から慌てて、園田さんが降りてきた。

「ま、行くか。園田」

「はい、社長」

私は兄と園田さんを連れて、会社のエントランスに向かった。

「涼香、話はしたのか?」

「いえ、まだです。その場で話をするつもりです。時間ないですから」

「ま、そうだな。後は…」

「大丈夫でしょう。涼香さんが出てくるんですよ。問題無いですよ」

「園田さん、ハードル上げるのやめてもらえますか?」

「いやいや、ご謙遜を…」

兄同様に、私を過大評価しすぎる園田さんに、言葉をなくす。
どうして、そう言うかな…


会社に入った私はそのまま、専用エレベーターまで案内をした。

「専用エレベーターか、凄いな。うちもこれにするか?園田」

「いや、必要ないでしょう?社長室には誰も行きたがらないですよ」

「お前なぁ…」

話をしていると、専務室のある10階に着いた。

これでもか、っていうぐらい動機が激しくなっていた。

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