once again

黙ったまま、蓮さんは私の話に耳を傾けてくれていた。

「私が目立ちたくない、と言った事覚えてますか？」

「ん？そんな事言ってたね、それが原因？SEIWADOの事知られるのが嫌だったから？」

私は首を振った。

「一つの原因としては、それもありました。でも、本当に隠したかったことは別にあるんです」

震える手を、蓮さんは力強く握ってくれた。

「私には、もう一人姉がいるんです」

「え？お姉さん？」

「はい。双子の姉が…」

蓮さんの目を見ながら私は言った。
そして、蓮さんの手をほどき、着けていた眼鏡を外した。
留めていた髪留めも外すと、腰まである髪がはらりと私を包んだ。
私は髪を崩し、蓮さんを見た。

「分かりますか？モデルのRURIです。RURIは私の双子の姉なんです…」

沈黙が流れた…と思った。
その瞬間、私は蓮さんに抱きしめられていた。

「…れ、蓮さん…」

「っ、そんな事を隠してたのか。俺が気にするとでも？涼香、君は君だろ？双子だからって何なんだ？」

涙がまた頬をつたっていた。

「…っ、隠さなきゃ、そう思ってたんです。比べられるのが嫌だった。ツマラナイ女だと思われるのが嫌だった。顔だけ綺麗なだけで、中身はツマラナイ女だって思われるのが嫌だったんです」

泣きながら話す私に、蓮さんは両手で、私の濡れた頬を指先で拭ってくれた。

「…っ、そんな事で、俺が気持ちが変わるとでも？涼香だから、好きになったんだ。仕事に対しての姿勢、気配りが出来る所、自分を曲げない所全部だよ。顔だけ？申し訳ないが、綺麗な顔だけなんか興味ないよ、涼香、君の全てが欲しい。ただそれだけだ。SEIWADOなんか関係ない、涼香自身が欲しいんだ」

そう言って、優しくキスをしてくれた。