once again
「匠、なんでそうなるんだよ?え?ち、違うって!分かった、今から会社に行く、待っててくれ」

電話を終えた蓮さんは、何があったのか不安そうにしていた私に向かってこう言った。

「涼香、悪い。今から会社に行ってくる。また問題が起こったらしい」

「問題?私も行きます、会社の事なら…」

私もと言ったが、蓮さんに両腕を掴まれ言われた。

「いや、君は来ない方がいい。親父が、社長が来てるらしいんだ。今行かない方がいい。匠も君は連れてくるな、と言ってたから。待っててくれるね?」

「…分かりました。ここで待っててもいいんですか?」

「いいよ。じゃ、待ってて…」

そう言って蓮さんは私に優しくキスをして、出かけて行った。


何があったんだろうか?
社長が出てきてるって…やっぱりあの鏑木物産との事が、問題になってるんだろうか。
ついて行った方が、このモヤモヤとした気持ちはなかったんだろうけど、あの室長が、来ない方がいいと言ったとするなら、その方がいいんだろう。

早く帰ってこないかな…蓮さん。


♪♪♪♪♪♪♪

蓮さん?
そう思って出た電話は、瑠璃からだった。

「涼香?今どこにいるの?」

少し焦ったような、瑠璃からの電話だった。

「…瑠璃、蓮さんのマンションにいるけど、お父さんに何かあったの?」

いつもと違う瑠璃の様子に胸騒ぎがした。
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