once again

「ううん、違う。そうじゃないの、私と涼香の事よ。よく聞いてね」

「な、何？そんな風に言われると怖いじゃない…」

電話を持つ手が、汗ばんできた。

「涼香、よく聞いてよ。どこから漏れたのか分からないんだけど、私の婚約した事が表に出てしまったのよ。しかもよ、相手が怜じゃなく、あなたの所の専務さんなのよ！明日には報道されるって、さっき天城から連絡があったの。事務所の方では相手が違う、と抗議する準備はしてるんだけど…」

「……え？ち、ちょっと待って、蓮さんが相手？どこからそんな話になるの…」

私はいきなりの話で頭が混乱していた。じゃあ、さっき蓮さんが出て行ってたのは、その事？
社長も来てるって言ってたし…

「…香！涼香！聞こえてるの？」

「あ、ご、ごめん…」

「驚くのは仕方ないわ。私も聞いて、頭真っ白よ。あなたと専務さんの写真が明日出るの、私はいいわよ、まだ。妹の間違いです、って言えばいいだけなんだから。でも涼香はそれだけじゃすまないでしょ？」

「出る？なんで？あ、まだ蓮さんにしか話してないし…」

「とりあえず、こっち来れる？車回そうか？」

「あ、う、うん」

「じゃ、天城！涼香を迎えに行って！、涼香、天城に迎えに行ってもらうから、出られる準備してて」

「わ、分かった…」

瑠璃との電話を終えた私は、慌てて出かける準備をしていた。