once again
「天城さん、ごめんなさい。ご迷惑をかけてしまって…」

「いや、謝るのは、私達の方ですよ。涼香さん、一般人のあなたをこんな事に巻き込んでしまって申し訳ない。瑠璃の婚約をもう少し早く発表していれば…」

迎えに来てくれた、天城さんと車の中で、どうしてこんな事になったのか、詳しく話を聞いた。
どうも、私のマンションから、私と一緒に蓮さんと出てきた所を写真誌に撮られたらしい。
瑠璃が数回私のマンションで泊まった事も重なって、瑠璃の別宅だと思われたらしい。
モデルだから、芸能人とは少し違う、なんて思っていたけれど…。
そんな事なかった。

瑠璃も大変だな、なんて思いながら。

着きましたよ、と天城さんが連れてきてくれたのは、瑠璃のマンションでも事務所でもなく、瑠璃と婚約した怜さんのマンションだった。

「ここ…」

「永山怜さんのマンションですよ。ここが今一番安全ですからね」

そう言って、天城さんは怜さんの部屋へ案内してくれた。

「涼香!無事ね、よかった」

「瑠璃…ごめんね、こんな事になって。怜さんもごめんなさい、ご迷惑をかけて…」

「いや、涼香さん。あなたは何もしてないじゃないですか。謝るのは違うよ、瑠璃にも謝られてね。悪いのは勘違いしてる方なんだから、気にしない方がいい」

「怜…ごめんね」
「怜さん、すみません…」

「いや、同じ顔して謝らないでくれるかな、双子だって分かってても、複雑だよ」

怜さんは、少し困ったような笑みを浮かべていた。

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