once again
会社に戻ってからの俺は、自分でも言うのもあれだが、有頂天になっていた。やっと手に入れた彼女と過ごしたくて。
見合いの話もなかった事だと、聞いて安心した。
そして、やっと涼香と呼べた。
涼香にも、蓮と呼べと言った。言えないと言う、涼香に練習までさせて…

そし涼香には、ちゃんと俺の見合いも、なくなったことを伝えた。
鏑木物産の事も心配しなくていいと。涼香は、会社を巻き込みたくなかったらしい。迷惑がかかる、自分の気持ちに蓋をすると。
しかし、俺もバカじゃない。
それなりに、鏑木物産が仕掛けてきてもいいように動いていた。
後は、契約に持ち込むだけだと、その時は思っていた。

しかし、涼香の父親が倒れたと連絡が入ったのはそれから数日の事だった。そして、その時期と同じくして、鏑木物産が動いた。


父親が倒れて、それどころではないだろうと思っていた涼香から、話がしたいと言われた。
顔を見ていて、大事な話だと理解した俺は、聞こうとしたその時、匠から連絡が入った。

「夏帆さんとの話、ない事にしただろ?鏑木物産が、如月商事の系列会社との契約を切り始めたぞ!どうするんだ!」

動かない方に賭けていたが、そうはいかなかったらしい。涼香の話も聞けず会社に戻った俺を待ち構えていたのは、父と匠だった。

お前が責任を取れと。
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