once again

「二人とも大変だったな。特に涼香の方は、よく頑張ったな」

「お父さん…」

「…お父さん、私も涼香も少し疲れたの。怜達が来るまで部屋でゆっくりしてていいかしら？」

リビングに行くと、父がソファに座って私たちを出迎えてくれた。退院してから、仕事をセーブしていた父の体調は依然と変わらないほどよくなっていた。
そのせいか、顔つきは優しくなっていた。

「あぁ、ゆっくりしなさい。悠貴は一人で騒いでいるが、瑠璃達の事が、ひと段落がついたから嬉しいんだよ。自分の結婚もまだなのにな、先にお前達を行かせたいみたいなんだ。大目にみてやってくれ」

父からの、自分の結婚はまだなのに、と言われた兄が慌てて、リビングに飛び込んできた。

「っ、親父、それはないだろう。兄としての威厳が…」

「はははっ。まだまだだよ、悠貴。しっかり相手見つけろよ。瑠璃と涼香の相手以上のな？大変だぞ？」

怜さんや蓮さん以上の相手、って…
お父さんも無茶言うな、兄さん固まっちゃったよ。瑠璃も横で笑いをこらえていた。


「ハードル上げてくれんなよ…」

久しぶりに、家族の団欒が戻ったようだった。