once again
走り去る車を、頭を下げて見送った。

ふーっと、溜息がこぼれ落ちた。

辞めます、と言えばよかったかな…
そう思いながら、マンションの方へ歩き出した。

「涼香!」

え?

誰?と思いながら周りを見渡した。

「あ、瑠璃…、どうした…の?」

マンションの近くに停めた車から瑠璃が声をかけてきていた。

私は周りを気にしながら、瑠璃の車に近付いた。

「どうしたの?」

「どうしたの?じゃないわよ!あのイケメン誰よ?」

興味津々だな、これ。

明らかに、食い気味に聞いてきた瑠璃に会社の上司、と説明して納得してもらえるのか…

納得しなさそうだ。

「用事は何?」

「用事って、私の質問には答えないつもり?…まぁいいわ。時間ある?」

「時間?あるよ。部屋来る?」

「もちろん」

そう言って、瑠璃は車から降りてきた。

瑠璃の姿を見て、姉ながらカッコいいと思ってしまった。
流行りのブランド物のスーツを着こなして、高級車に乗って。
同じ姉妹なのか、と思ってしまう。

まぁ、この道を選んだのは私だけど…

クスッ

「何?何がおかしいの?」

笑った私を不思議そうに、瑠璃が聞いてきた。
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