once again
「な、何?急にびっくりするじゃない!」

「ご、ごめん」

「涼香、何かあったの?いつもと違うけど?」

私の様子がいつもと違う事に気が付いたのか、瑠璃が顔を覗き込んできた。

「瑠璃、私さ…」

私は瑠璃に、これまでのいきさつを話た。
秘書になった事、パーティに出ろと言われた事、室長から何かを隠してる事に疑われている事を。

「…そんな事って、あるのね」

瑠璃はそれだけ言うと、黙ってしまった。そして、何かを考えていた。

「瑠璃…」


「ね、涼香。悪い事言わないわ。仕事辞めた方がいいんじゃない?」

「え?どうして?」

私の目を見て瑠璃が続ける。

「だってそうじゃない?涼香が仕事を中途半端でやるような子じゃないのは、私知ってる。やればやるほど、目立つよ?いいの?しかも秘書だなんて…」

「そう、だよね。私もそう思ったんだけどね…。でも、瑠璃。私の性格って…」

「知ってる。最後までやりたい、でしょ。負けず嫌いだもんね、昔から。でも、続けるなら覚悟がいるよ?」

「分かってる。ダメだと思ったら辞める。勝手な考えだけど…」

瑠璃は私が、決めたら決意は変えない事を知ってる。
内向的な性格の中にも、そこだけは引けない。

「分かってるなら、何も言わない。今度のパーティは、私目立たないように頑張るわ」

モデルである瑠璃が、目立たないで済むわけなんかない事ぐらい分かっているけど、瑠璃なりの激励なんだろう。

「ありがと」

瑠璃にもたれかかった。

「涼香さ、さっき仕事どうするの?って聞いてたじゃない?私、結婚したら辞めるよ、モデルの仕事」

「え?」

驚いて顔を上げた。

「怜から辞めてくれ、って言われてないんだけどね。側で支えたいし、すれ違いの生活ももう嫌だしね」

未練はないのか、

聞こうと思った言葉を飲み込んだ。
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