once again
「ごめーん!待った?あれ?」

「待ってないよー」

「遅いぞ!涼香」

「どうして?有里華がいるの?」

行きつけのお店に行くと、そこには有里華の姿があった。
有里華、美玲と私達は高校の同級生。
私と美玲は同じ大学に進んだんだけど、有里華だけ短大に進学した。

卒業して離れてもこうやって、定期的にご飯を食べたり、旅行に行ったりしている。

「有里華から、ちょうど電話があってね。お店にいるよーって言ったら来たのよ」

「そうなの?有里華そんな事して大丈夫なの?」

「大丈夫だって。葛城来てるから」

「えぇ!葛城さんいるの?」

「うん。いるよ。帰っていいって言ったんだけどね、か…」

「有里華お嬢様を置いて帰ったら、旦那様からお叱りを受けます」

有里華は、うんざりした表情で、後ろを指差した。

「!!!か、葛城さん!いたんですか?」

「存在を消すのも私の仕事でございます」

有里華の執事、葛城さんが右手に手を当てお辞儀をする。

「もう、いやー。自由に遊ばせてよ!」

「無理でございます。なんなら今からお帰りになられますか?」

「それはもっと嫌!」

有里華は正真正銘のお嬢様。
家は、由緒正しい華道、華月流のお家元。
そりゃ、自由はないわな。

「どうぞ、ご自由にお食事を。私は、後ろに下がっていますので」

そう言うと、葛城さんは後ろに下がっていった。

凄い。
ホントに存在消してるし…

「それはそうと、涼香遅かったじゃない?なんかトラブルでもあった?」

「ううん、帰ろうとしたら、変な外国人に遭遇してね」

「外国人?誰?」

「うーん、分かんない。名前言ってたような気もするけど、早く離れたいかったから覚えてないや。フランスの人だったけど。社長のお客だったみたいよ」

「フランス…あー!」

私がフランスと言ったのを聞いて、美玲が何かを思い出したみたいだった。

「な、なに?」

「その人、茶髪で彫りの深いイケメンじゃなかった?」

思い出してみた。

「そう、だったかな…」

「その人、ルイ・パトリシオよ」

「誰?それ…」

「何言ってんのよ!フランス支社長じゃないの!」

「へ?」
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