once again
フランス支社長って…

やってしまった。

黙り込んでしまった私に、有里華と美玲が、まさかとは思うけど、と聞いてきた。

「そのまさか、よ。フランス語で対応しちゃったよ…」

「やばいね」

「それって、ダメじゃない!涼香!」

「うん、ヤバいし、ダメだ」

3人で頭を抱えた。

なぜ、話せるフランス語で対応したらダメなのか。

それは、私が目立ちたくない、ただそれだけ。
元々、英文科を出てるから、英語が話出来るのは、バレてるからいいんだけだ、私が話せる言語は、フランス語も含めて6カ国ある。もちろん会社には内緒。
その事を美玲と有里華は知っている。

「やっぱり、ヤバいよ、ね。なんで本社に来てたんだろう」

「それは、一つしかないじゃない。御曹子帰ってくるんだよ?元々フランス支社にいたんだから!」

あー。
撃沈。

「もしもーし!涼香?」

「ダメよ。有里華、そっとしててあげて」

「涼香って、まだダメなの?もう素の自分出したらいいのに」

「そうなんだけどね…」

「もったいないよ。こんだけ綺麗なのに…」

そう。
私は素の自分を出すのが苦手、ううん嫌いなんだ。
いつも鎧をつけて、外に出てた。英語しか話せないと言ってるのも、それ。
出来ると思われたくない。

この事を知ってるのは、身内以外では、美玲と有里華だけ。

いい加減ダメだとは、思ってるんだけど。

「まだ素は出せないよ、有里華」

「仕方ないのかな。まぁ、何かあったら言ってね?助けるからね!」

「そうだよ、涼香。人事部で分かる事は教えるから!」

「ありがと」

二人が友達でよかった。

そして盛り上がった私達は、いつの間にか、ワインボトルを3本開けていた。



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