once again
「さ、涼香さん」

ドアを開けてくれた天城さんは、瑠璃に2時間後に迎えに来ると言って、また車に乗って行ってしまった。

「涼香、行くわよ。時間ないんだから」

「え?どこに?」

戸惑う私の背中に手を当てて、ぐいぐいと押していく。

地下の駐車場からビルに入った私と瑠璃。

「ここ、どこなの?瑠璃」

「入ったら分かるわよ」

staff onlyの扉を開け、少し中を歩いていると、ショーウィンドウが見えた。

ここって…

「瑠璃、ここ」

「そう。私の行きつけのお店。口の固い人達だから大丈夫。貸切にしてあるから、選ぶわよ」

「え、えぇ!急に言われても…」

戸惑う私に続ける、瑠璃。

「戸惑ってる暇ないのよ、ほら」

「いらっしゃいませ。瑠璃から話は聞いています。安心なさって下さいね」

上品な笑みで私を迎えてくれたのは、

「彼女はここのオーナーの葵さん。昔からの付き合いなの。涼香の希望は伝えてあるから、安心して」

「任せておいて。瑠璃が読書モデルしてる頃からの付き合いだから、その辺の事は大丈夫よ」

その辺の事は…って、知ってるって事か。
大丈夫だろうか、内心不安になりながら、身をまかせる事にした。
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