once again
どれくらいのドレスを試着したんだろう。

気が遠くなりそうだった。

「これ、いいんじゃない?派手過ぎず、大人の女って感じで」

葵さんに、どう?と聞かれ、鏡に映った自分を見た。

「え…、これ…」

私が顔に出していたのか、葵さんがニコッと笑った。

「いいって思ったでしょ?いいんじゃない?」

「は、はい」

葵さんが選んでくれたのは、黒のシックなワンピース。体にフィットしていてラインが出るけど、いやらしい感じもしない、上品な感じ。
膝丈で膝上15cmにレースでシースルーになっている。

「ね、瑠璃。これでいいんじゃない?」

瑠璃は自分も明日着ていくドレスを選定中で、隣のフィッティングルームから出てきた。

瑠璃の格好は完璧な物だった。
女の私が見てもため息が出るほど…

「いいじゃない!さすが葵さんね」

「当たり前じゃない。任しておいてよ。瑠璃もそれにしたの?何着か選んでたんだけど、それにするだろうな、って思ってたのよ」

「やっぱり葵さんの見立ては、完璧ね。助かるわ」

瑠璃は、淡いブルーのドレスを着ていた。
胸元が開き、体のラインもしっかり強調されているけど、それが気にならないぐらいの気品を漂わせていた。
< 72 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop