恋・愛至上命令。
1-1
・・・朝の微睡み。ぼんやりと半分、頭が起きてる。
目は開かないけど、耳に届いてるカチャカチャって小さな物音。・・・キッチンの方から。
羽根布団の心地いい重みの下で、ゆるゆる寝返りを打つ。
そろそろセットしておいたスマホのアラームが鳴る頃・・・? 目を閉じたまま枕に顔を埋めて、時間まで布団の中にいる権利を自分に主張。
数分経ったか経たないうちに、軽やかなメロディが割りと大きな音量で響き渡り。ヘッドボードに手を伸ばしてスマホを取り上げると、アラームを解除した。
でもまだ起きない。うだうだとしてれば、もっと聴き心地のいい別の目覚ましが向こうからやって来るから。
廊下の奥でドアが開く気配。静かに抑えたスリッパの足音。わたしの部屋のドアの向こうで一度立ち止まって。ノックが聴こえた。
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