恋・愛至上命令。






「本気で断るとか、瀬里姉、あとで後悔すんなよ?」

冷ややかな一瞥をくれ、ソファにふんぞり返った幸生が大仰な溜め息を吐く。
晶さんを見送った後の応接間で、ちょっとした家族談義だ。

「・・・しないわよ」

真顔で返せば、幸生もそれ以上は言わなかった。





『・・・分かってたけどね』

深く頭を下げて、気持ちに応えられないことを心から詫びたわたしに、晶さんは寂しそうに笑い。

『もし瀬里が幸せじゃなかったら、遠慮なく大島から奪うよ』

目を細めて、綺麗な顔に容赦のない本気を滲ませてた。
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