恋・愛至上命令。
『・・・少しの間ですよ』

泣きながら弱音を吐いたわたしに。淡々とした口調で・・・慰めの響き。

『必ず戻ります。・・・私は瀬里お嬢のものですから』

不器用な凪なりの最大級の愛情表現。

わたしはグズグズの鼻をすすり上げると手の甲で頬の涙を拭い、大きくひとつ呼吸を逃した。

「・・・・・・・・・浮気したら赦さないから」

『・・・・・・・・・・・・』

この沈黙は抗議の沈黙。気配で分かる。

『誰に言ってるんです』

ワントーン下がった低い声。目の前にいたら上から遠慮なく睨んでそうな。

「ちゃんと言っておくけど。わたしも誓って晶さんとは終わってるから」

情けない鼻声だけどきっぱり。力を込めて断言した。
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