恋・愛至上命令。
1-3
お店の中は入り口のトリッキーさと打って変わって、シックで落ち着いた雰囲気だった。
深い色の木目調で統一された床やテーブル。背の高い観葉植物と、壁に埋め込まれた色とりどりの可愛い熱帯魚が泳ぐ水槽に、南国のリゾート感も漂ってたりして。
「セリちゃん」
カウンター前のスツールに腰掛けてる、すらっとしたジャケット姿の男性が涼しそうな笑顔を振り向けた。
「こんばんは、アキラさん」
寄って行って、隣りにちょこんとわたしも。
時間が早いせいか他にお客はなく、例の美形のバーテンダーさんがにこりと微笑んだ。
「タイミング良かったかな。ダメ元で電話したから」
いつもサラサラで、長めの前髪が少しだけが左目にかかってる。その奥から覗く眸がどこかミステリアスで、・・・すごく魅惑的な人。
お互いに連絡先と下の名前しか知らない。こんな風にときどき逢って、一緒に時間を過ごす。一年前から。
「わたしも会えて嬉しいですよ?」
悪戯気味に返して。
「ご飯まだだろ? 何か食べに行こうか」
「はい」
そのまま席を立つと、アキラさんはさり気なくわたしの腰に腕を回す。そしてバーテンダーさんに軽く片手を上げて見せた。
「じゃあ千也(せんや)、後は宜しく」
「気を付けて。・・・セリちゃんまたネ」
彫りも深くて目鼻立ちがはっきりしてる、何ていうかイタリア系?なノリの美形さんにウインクされて。営業用スマイルだって分かってても心臓が跳ねた。
「千也。俺のセリにホストモードは厳禁だから」
冗談ぽく口角を上げたアキラさんは、そう言い置くと。わたしをエスコートしながらお店を後にした。
深い色の木目調で統一された床やテーブル。背の高い観葉植物と、壁に埋め込まれた色とりどりの可愛い熱帯魚が泳ぐ水槽に、南国のリゾート感も漂ってたりして。
「セリちゃん」
カウンター前のスツールに腰掛けてる、すらっとしたジャケット姿の男性が涼しそうな笑顔を振り向けた。
「こんばんは、アキラさん」
寄って行って、隣りにちょこんとわたしも。
時間が早いせいか他にお客はなく、例の美形のバーテンダーさんがにこりと微笑んだ。
「タイミング良かったかな。ダメ元で電話したから」
いつもサラサラで、長めの前髪が少しだけが左目にかかってる。その奥から覗く眸がどこかミステリアスで、・・・すごく魅惑的な人。
お互いに連絡先と下の名前しか知らない。こんな風にときどき逢って、一緒に時間を過ごす。一年前から。
「わたしも会えて嬉しいですよ?」
悪戯気味に返して。
「ご飯まだだろ? 何か食べに行こうか」
「はい」
そのまま席を立つと、アキラさんはさり気なくわたしの腰に腕を回す。そしてバーテンダーさんに軽く片手を上げて見せた。
「じゃあ千也(せんや)、後は宜しく」
「気を付けて。・・・セリちゃんまたネ」
彫りも深くて目鼻立ちがはっきりしてる、何ていうかイタリア系?なノリの美形さんにウインクされて。営業用スマイルだって分かってても心臓が跳ねた。
「千也。俺のセリにホストモードは厳禁だから」
冗談ぽく口角を上げたアキラさんは、そう言い置くと。わたしをエスコートしながらお店を後にした。