恋・愛至上命令。
凪が少し躊躇した気配を感じた。だけど譲ってはあげない、だって。『お嬢』って、お父さんお母さんて呼ぶのと一緒。

「・・・・・・瀬里」

噛みしめるように。凪は名前を口にした。

「次は・・・何ですか」

二つ目は。

「もう絶対にわたしから離れないで・・・」

「誓って、傍を離れることは二度とありません」

「・・・もし破ったら許さないんだから」

「その時はお嬢の、・・・瀬里の気の済むようにしてください」

「ねぇ敬語もやめて」

三つ目。
閉じていた目を開け、ちょっと不本意ぽく凪を上目遣いに見やる。

「それは構いませんが」

目を細めた凪の気配が僅かに変わった。気がした。

「・・・あまり煽らないでもらえませんか。抑えが効かなくなるので」

「遠慮なんて要らないでしょう?」

奥さんになるのに。単純に思っていたわたし。納得がいかないって顔すらしてたかも知れない。
微かに眉を顰めた凪が小さく息を吐いた。

「分かりました。ではそうします」
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