恋・愛至上命令。
頬を包んでいた掌をそのまま下に滑らせると顎に手をかけ、逃がさないとでも言いたげに。

「・・・他には?」

「えぇと・・・」

凪にただ見つめられてるだけ。
表情が豊かじゃないのも変わりがないし、なのに。何だかすごく心臓が波打って仕方がなくなった。空気が違う。・・・本能で感じてる。

「何でも聞く・・・と言ったろう。それがお前が望みなら」

その低い響きに息を呑んだ瞬間。耳の奥で何かがたわんで弾けたみたいな音を聴いた。胸の真ん中を物凄いスピードで突き抜けてく何かに。躰ごと持っていかれそうになって眩む。

泣きそうに胸が高鳴って、頬に目許に一気に熱を熟んだ。
待って・・・やだ。うそ、なんで。凪ってこんなに男っぽかった・・・の?

意識した途端に目も合わせらなくなって、思考回路が迷路に変わる。
どうしようもない羞恥に身を捩り、逃れようとしたけれど。
空いている手が腰に回って更に凪に引き寄せられた。
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