恋・愛至上命令。
顔の線も、前に比べて引き締まって見えた。指でやんわりなぞってみる。肩や胸の筋肉の付き具合も、鍛えたのかずい分逞しくなってた。

三年っていう長さが凪をどんな風に変えるのか。キレイごとでは決して済まない世界がもしかしたら、凪のココロを凍らせてしまうかも知れない。わたしが愛した男じゃなくなってるかも知れない。

不安に苛まれた夜もあった。
だけどわたしの前に立った凪は。ずっと強い光りを称えた眸で見つめたの。

何も訊かなくてもそれだけで十分だった。
漢(おとこ)らしくなっただけじゃなく、纏う空気がどこか柔らかくなった。もっとオトナになって余裕もあるように。
前から恰好良いけど。前より好き。・・・大好き。24時間365日、どこにも離さないで一緒にいたい。

衝動的に、結ばれてる凪の薄めの唇にキスしたくなったのを、ぐっと我慢。
あんなにしたのにもう足りないなんて。凪欠乏症が収まるのはまだ先かな。内心でちょっと呆れ気味な笑みを零す。

起こさないよう触れてた指を引っ込めようとしたのと、その手を掴まえられたのはほぼ同時だった。

「ごめんなさい、起こした・・・?」

身じろぎした凪は反対の腕でわたしの腰も引き寄せ。
素肌同士が密着して触れ合い、二人の脚が羽根布団の中で交互に絡み合う。

「・・・少し前から起きてましたよ」

胸元の辺りに顔を埋める格好になったわたしの髪を、凪は梳くように撫でた。
低く透った声は仄かに甘さを残してる。
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