恋・愛至上命令。
週末の土曜日。ゆっくり朝寝坊してブランチを取り。何か言いたそうな凪を尻目に、悠々と出かける準備を始める。
家に帰るのに気取った格好をする気もないから、お尻が隠れるくらいの丈の薄手のニットセーターに、スキニーパンツ。肩に付くか付かないくらいのナチュラルボブの髪を軽くセットして。そろそろ美容室に行こうかな、なんて考えながら。
車でだいたい35分。スープが冷めない距離とはいかないけど、実家までの距離はそれほど遠くない。二人暮らしの条件はちゃんと叶えたつもり。
相変わらずのスーツ姿でサングラスをかけ運転してる凪に何となく、つまらないワガママを言ってみた。
「凪。・・・サングラス取って」
束の間、沈黙があって。
差し掛かった信号待ちでおもむろに外すと。こっちに少し顔を傾けた。
「これでいいですか」
・・・そうよ。凪はいつでもわたしを見てなきゃダメなの。
目が合う。切れ長の何も見通せない闇色の眸と。
逸らすなんて・・・許さない。
ココロの奥底で、歯がゆいような・・・苛立つような感傷がうねる。
「顔が見えないのは嫌いなの」
「・・・気を付けます」
信号が変わって、フロントガラスの向こうに視線を戻した凪。
わたしも窓の外を見やるフリ。
本当は。ただ真っ直ぐに凪の顔を見つめていたかっただけ。
・・・好きな人の顔だもの。
家に帰るのに気取った格好をする気もないから、お尻が隠れるくらいの丈の薄手のニットセーターに、スキニーパンツ。肩に付くか付かないくらいのナチュラルボブの髪を軽くセットして。そろそろ美容室に行こうかな、なんて考えながら。
車でだいたい35分。スープが冷めない距離とはいかないけど、実家までの距離はそれほど遠くない。二人暮らしの条件はちゃんと叶えたつもり。
相変わらずのスーツ姿でサングラスをかけ運転してる凪に何となく、つまらないワガママを言ってみた。
「凪。・・・サングラス取って」
束の間、沈黙があって。
差し掛かった信号待ちでおもむろに外すと。こっちに少し顔を傾けた。
「これでいいですか」
・・・そうよ。凪はいつでもわたしを見てなきゃダメなの。
目が合う。切れ長の何も見通せない闇色の眸と。
逸らすなんて・・・許さない。
ココロの奥底で、歯がゆいような・・・苛立つような感傷がうねる。
「顔が見えないのは嫌いなの」
「・・・気を付けます」
信号が変わって、フロントガラスの向こうに視線を戻した凪。
わたしも窓の外を見やるフリ。
本当は。ただ真っ直ぐに凪の顔を見つめていたかっただけ。
・・・好きな人の顔だもの。