恋・愛至上命令。
彼氏と無事仲直りできた結衣子に、愚痴とノロケを半分半分に聞かされてお昼休憩を終え。午後も電話対応とパソコンに向かって励む。
退社時間になってバッグを肩に建物の外に出る。
夜の空気もだいぶ冷ややかになってきて、今日は薄手のニットにテーラードジャケット、ロングスカートの出で立ち。そろそろブーツも出番になりそう。
紫紺の空を見上げ視線を戻せば、路肩に寄せてハザードを点滅させる白い車。・・・アキラさん。
近付いていって助手席側の窓をノック。ドアを開けて乗り込む。
「お疲れセリちゃん」
「ごめんなさい。こんなところまで迎えに来てもらって」
「いいよ。俺もセリに早く会いたかったから」
申し訳なく言うわたしに、運転席から涼やかな笑顔を覗かせたアキラさんは。白いシャツにジーンズってカジュアルな恰好なのに、メンズ雑誌から抜け出てきたかのような洗練された雰囲気で。何を着てても似合う人。無条件に見とれてしまう。
「なに?」
クスリと悪戯気味な笑みが返り、あっと思った時には、不意打ちのキスは離れていた。
「お腹空いてるだろ? 食べたいのある?」
「そう・・・ですね」
車を発進させたアキラさんが柔らかくそう訊ねたのを。わたしは、濁すように言い淀んだ。話すタイミングはいつがいいのかを計りかねて。
「じゃあ、たまには俺の手料理でも披露しようか」
「え?」
思わず目を瞬く。
「一人暮らしだからね。これでもひと通りのことは出来るんだよ。期待してくれていいから」
愉しそうに笑んだ彼に、苦い思いを隠して。曖昧に笑い返すしか。・・・なかった。
退社時間になってバッグを肩に建物の外に出る。
夜の空気もだいぶ冷ややかになってきて、今日は薄手のニットにテーラードジャケット、ロングスカートの出で立ち。そろそろブーツも出番になりそう。
紫紺の空を見上げ視線を戻せば、路肩に寄せてハザードを点滅させる白い車。・・・アキラさん。
近付いていって助手席側の窓をノック。ドアを開けて乗り込む。
「お疲れセリちゃん」
「ごめんなさい。こんなところまで迎えに来てもらって」
「いいよ。俺もセリに早く会いたかったから」
申し訳なく言うわたしに、運転席から涼やかな笑顔を覗かせたアキラさんは。白いシャツにジーンズってカジュアルな恰好なのに、メンズ雑誌から抜け出てきたかのような洗練された雰囲気で。何を着てても似合う人。無条件に見とれてしまう。
「なに?」
クスリと悪戯気味な笑みが返り、あっと思った時には、不意打ちのキスは離れていた。
「お腹空いてるだろ? 食べたいのある?」
「そう・・・ですね」
車を発進させたアキラさんが柔らかくそう訊ねたのを。わたしは、濁すように言い淀んだ。話すタイミングはいつがいいのかを計りかねて。
「じゃあ、たまには俺の手料理でも披露しようか」
「え?」
思わず目を瞬く。
「一人暮らしだからね。これでもひと通りのことは出来るんだよ。期待してくれていいから」
愉しそうに笑んだ彼に、苦い思いを隠して。曖昧に笑い返すしか。・・・なかった。