恋・愛至上命令。
途中スーパーに寄り、バケットに玉子、トマト、生クリームなんかを買ったアキラさんは、そのままわたしをあの部屋に連れてきた。4度目。

こんな風に自分の手料理を振る舞ったりして、彼はオトナの付き合いをするのかな。なんて想像をする。
わたしに声を掛けて来た時も一夜限りだと思ったのに。『良かったら、また会えないかな?』って。あれから、彼女でもないけど優しくしてくれて。・・・ずっと甘えてきてしまった。

「この部屋に入れたのはセリだけだからね、俺の作った料理を食べるのもセリが第一号」

シャツの袖をまくりながら、キッチンからアキラさんがこっちを見て口角を上げた。
意外そうに驚いたわたしの反応に、困ったみたいに。

「良く見られるけど、俺から連絡するなんてそう無いよ」

さらっとした告白。
それって。・・・胸の奥がくしゃり、と小さく掴まれて音を立てた。

どうして今日に限ってそんな風に言うの。わたしが特別みたいに。
< 40 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop