恋・愛至上命令。
3-2
アキラさんが借りている部屋は、雑居ビルの一部を居住用にリノベーションしたもので。周囲も似たようなビルが立ち並び、夜になると人けもなくとても静かだった。
建物から少し離れたところに数台が置けるコインパーキングがあって、車はいつもそこに停める。
外に出た瞬間、ひんやりした夜気に少し肌寒さを憶え、アキラさんはわたしの肩を抱き寄せて「ちょっと寒いね」と笑んだ。
街灯に点々と照らされた、大通りから一本裏の路地を歩き。パーキングの目印の電飾看板へと向かってく。
明るさが強調されてるから、そこに人が立っていれば自然と目に付く。男性のシルエット。顔が判別くらいの距離で目を見開いた。
「・・・凪・・・?」
黒いスーツに黒のネクタイ。闇色がこんなに似合う男を他に知らない。
「・・・帰りますよ、お嬢」
前に立った凪が感情を消した眼差しで見下ろし、低く言った。
「な・・・んで、ここにいるの・・・?」
だけどそれに答えたのは、茫然としてるわたしの隣りにいたアキラさんだった。
「セリの会社を出た時から後を付けられてたんだよ。・・・会うのは初めてだったかな、大島」
・・・えっ?
聴き間違いかと一瞬、耳を疑う。でも確かに『大島』って。どうしてアキラさんが、凪を知ってるの・・・?!
建物から少し離れたところに数台が置けるコインパーキングがあって、車はいつもそこに停める。
外に出た瞬間、ひんやりした夜気に少し肌寒さを憶え、アキラさんはわたしの肩を抱き寄せて「ちょっと寒いね」と笑んだ。
街灯に点々と照らされた、大通りから一本裏の路地を歩き。パーキングの目印の電飾看板へと向かってく。
明るさが強調されてるから、そこに人が立っていれば自然と目に付く。男性のシルエット。顔が判別くらいの距離で目を見開いた。
「・・・凪・・・?」
黒いスーツに黒のネクタイ。闇色がこんなに似合う男を他に知らない。
「・・・帰りますよ、お嬢」
前に立った凪が感情を消した眼差しで見下ろし、低く言った。
「な・・・んで、ここにいるの・・・?」
だけどそれに答えたのは、茫然としてるわたしの隣りにいたアキラさんだった。
「セリの会社を出た時から後を付けられてたんだよ。・・・会うのは初めてだったかな、大島」
・・・えっ?
聴き間違いかと一瞬、耳を疑う。でも確かに『大島』って。どうしてアキラさんが、凪を知ってるの・・・?!