恋・愛至上命令。
4-1
ずっと。凪のそんな顔が見たかった。

剥き出しの感情を突き付けて、たとえ傷付けあっても。本当のココロでわたしを見て欲しかった。




上着を脱ぎ捨て、ネクタイの結び目に指をかけながら、凪がわたしの自由を奪って『男』の眼を見せた時。

躰が芯から震えた。戦慄いた。

嬉しくて。・・・うれしくて、泣きそうだった。

やっと。

応えてくれた。

凪が。ガラスの壁にひびを入れてくれた。

壊せる。もうすぐ。

・・・ね、凪。そうでしょ・・・?




息遣いと低い呻き。凪の指、舌、ぜんぶ感じる。
触れられるところが、どこもかしこも熱を熟んで。
絶え間なく追い詰められる。
自分のじゃないみたいな声が響き渡って。部屋を埋め尽くしてる。

お願い凪。
もっと容赦なくして。
思うままにして、残らず欲しいの。
優しくなくていい。酷くていいから。

晶さんを消して凪だけにして。

凪の跡をこれでもかってぐらい。
わたしに。・・・刻んで。



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