恋・愛至上命令。
「ちゃんと怒って、わたしを好きなら・・・!」
身長差が20センチはある凪を見上げて言った。
「立場とかじゃなくて、男として怒ってよ。晶さんと結婚するつもりなんてない。・・・ずっと甘えさせてもらってたけど、それとこれとは別だから。あの場で断りきれなかったわたしを、凪は怒るべきなの・・・っ」
凪はわたしの言葉を黙って聴いてた。深い水底みたいな眼差しで見つめて。
僅かに開きかけた唇を躊躇うように結び、もう一度開く。
「・・・立場を外れたら、そんなものじゃ済みませんよ」
一段低いトーンで。凪からほんの一瞬、ピリッとした気配が。伝わった。
意味を問おうとしたけど、コートの胸ポケットからサングラスを取り出した凪は。わたしの視線をシャットアウトして呟いた。
「買い被らないでください。・・・私や高津を」
その夜。ベッドの中で本気だと言った晶さんの顔を少し、思い浮かべた。
晶さんは好き。でも愛とは違う。ふわふわの羽根布団みたいなものだわ。包まれて、温かくて安心できる。そういう人。
『答えは次に会った時に』
淡い笑みも思い返して、苦い吐息をそっと漏らした。
身長差が20センチはある凪を見上げて言った。
「立場とかじゃなくて、男として怒ってよ。晶さんと結婚するつもりなんてない。・・・ずっと甘えさせてもらってたけど、それとこれとは別だから。あの場で断りきれなかったわたしを、凪は怒るべきなの・・・っ」
凪はわたしの言葉を黙って聴いてた。深い水底みたいな眼差しで見つめて。
僅かに開きかけた唇を躊躇うように結び、もう一度開く。
「・・・立場を外れたら、そんなものじゃ済みませんよ」
一段低いトーンで。凪からほんの一瞬、ピリッとした気配が。伝わった。
意味を問おうとしたけど、コートの胸ポケットからサングラスを取り出した凪は。わたしの視線をシャットアウトして呟いた。
「買い被らないでください。・・・私や高津を」
その夜。ベッドの中で本気だと言った晶さんの顔を少し、思い浮かべた。
晶さんは好き。でも愛とは違う。ふわふわの羽根布団みたいなものだわ。包まれて、温かくて安心できる。そういう人。
『答えは次に会った時に』
淡い笑みも思い返して、苦い吐息をそっと漏らした。