恋・愛至上命令。
5-1
「瀬里お嬢。・・・着きましたよ」
はっと気が付けば、車はもう会社の前に停まっていた。考え事で意識が飛んでたのかも知れない。
「あっ、ごめん・・・っ」
慌ててシートベルトを外し、バッグを手にドアロックに手をかけた。
「行ってきます」
挨拶はちゃんと運転席の凪を振り返る。と。二の腕を掴まれて引き寄せられ、軽く唇が重なる。
「・・・行ってらっしゃい」
離れた凪の闇色の眸と間近でぶつかって。心臓が大きく波打った。
こんな風に時折りの不意打ちが増えた。
あの夜以来、体を重ねてはないけど。ふとした拍子に触れてくれる。それが。進歩というか、気持ちが近付いた証しに思えて嬉しいし、女子校生の恋愛かってぐらい赤面もので困る。
恥ずかしくなって泳がせ気味に視線を逸らし、「行ってくるね」とはにかみながら車を降りた。
ウィンドウ越しに手を振れば、相変わらずのポーカーフェイスで目礼が返った。
凪は凪だから。
きっとこれからも、こんな感じなんだろうなって思う。
普通の恋人みたいに甘々でデートに出かけるとか旅行とか、始終ベッタリとか。・・・それはそれで凪らしくないのも分かってる。違うからって他人を羨む気もない。
・・・・・・好意を隠さない晶さんはある意味、凪と対極だから。余計に甘く感じてただけ。そう自分に納得させてる。
フェミニズムだと思ってた晶さんの情が。本気だったことにどこか惑っていて。答えは出せてるのに靄がかってる。
自動ドアをくぐり抜けながら溜め息でフタを被せ。今日一日の仕事のスケジュールへと強制的に頭を切り替えた。
「セリ~、おはよー」
「おはよ結衣子!」
後ろから声がかかって、いつもどおりの笑顔を向ける。
他愛もないお喋りをしてるうちに、OLの日常が今日も始まっていた。
はっと気が付けば、車はもう会社の前に停まっていた。考え事で意識が飛んでたのかも知れない。
「あっ、ごめん・・・っ」
慌ててシートベルトを外し、バッグを手にドアロックに手をかけた。
「行ってきます」
挨拶はちゃんと運転席の凪を振り返る。と。二の腕を掴まれて引き寄せられ、軽く唇が重なる。
「・・・行ってらっしゃい」
離れた凪の闇色の眸と間近でぶつかって。心臓が大きく波打った。
こんな風に時折りの不意打ちが増えた。
あの夜以来、体を重ねてはないけど。ふとした拍子に触れてくれる。それが。進歩というか、気持ちが近付いた証しに思えて嬉しいし、女子校生の恋愛かってぐらい赤面もので困る。
恥ずかしくなって泳がせ気味に視線を逸らし、「行ってくるね」とはにかみながら車を降りた。
ウィンドウ越しに手を振れば、相変わらずのポーカーフェイスで目礼が返った。
凪は凪だから。
きっとこれからも、こんな感じなんだろうなって思う。
普通の恋人みたいに甘々でデートに出かけるとか旅行とか、始終ベッタリとか。・・・それはそれで凪らしくないのも分かってる。違うからって他人を羨む気もない。
・・・・・・好意を隠さない晶さんはある意味、凪と対極だから。余計に甘く感じてただけ。そう自分に納得させてる。
フェミニズムだと思ってた晶さんの情が。本気だったことにどこか惑っていて。答えは出せてるのに靄がかってる。
自動ドアをくぐり抜けながら溜め息でフタを被せ。今日一日の仕事のスケジュールへと強制的に頭を切り替えた。
「セリ~、おはよー」
「おはよ結衣子!」
後ろから声がかかって、いつもどおりの笑顔を向ける。
他愛もないお喋りをしてるうちに、OLの日常が今日も始まっていた。