君を借りてもいいですか？
不安と戸惑い
「これみてよ」

亜矢がドヤ顔でタブレットと雑誌を私に差し出した。

雑誌の方は今回雑誌で私のことを記事にしたものでその名も『偽恋レポート』ってタイトルがついている。

記事は概ね読んだからそこは省き、タブレットに目をやる。

するとタブレットには読者からの感想のコメントやらメールの内容がびっしり書き込まれていた。

「これ全部感想？」

「そうなの〜。ものすごい反響が大きくてね。編集長もウハウハ」

「そ、そうなんだ……」

面白い。ワクワクする。続きがきになるというものもあれば、詐欺っぽいとか怖いとか、騙して気分いいですか？など感想は様々だ。

「人それぞれだからいちいち気にしてもしょうがないけど、ファッション雑誌の後ろの方の小さな記事にこれだけの感想が集まるって凄いことなのよ。それにね？」

亜矢はスマホを取り出した。

「SNSでも結構話題になってるの」

「え？まじで？」

ふと湊人の顔が浮かんだ。

このことを湊人は知らない。もし私たちのことがバレたりでもしたらどうしよう。

自分が思っていた以上の反響に戸惑いを隠せなかった。
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