君を借りてもいいですか?
「まあ〜いいよ。そういうのは自分が気づかなきゃ意味ないしね。とりあえず、最近の近況とか教えて。
後2人で行ったお店とかあったらそれも」

亜矢の目は完全に仕事モードだった。

彼女も仕事熱心で中途半端なことはしない。だからこの企画をやめたいとは言えなかった。

ただ、今一緒に住んでいることを話すことを見合わせた。

「次号は例の温泉旅行編だからね。でもこの旅館の情報は明かさないから安心して」


翌日、出勤すると後輩たちが何やら盛り上がっていた。

「おはよう〜」

『おはようございます』

後輩の一人が亜矢の担当するファッション誌を抱えていた。

「どうしたのその雑誌」

すると後輩は雑誌をペラペラとめくり、あるページのところを私に見せた。

「知ってます。この記事がすごく面白いんですよ」

「え?」

その開かれたページというのはなんと偽恋レポートだった。
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