君を借りてもいいですか？

「御曹司が縁談を断るために偽の婚約者を作ったって話で、実話なのか作り話なのかわかんないんだけど
目が離せないんですよ〜」

「へ〜〜」

嘘！こんな近くに読者がいたとは。知らないって顔しながらも内心は心臓がばくばくしていた。

「よかったら休憩時間にでも読んでみてくださいよ〜〜」

後輩が雑誌を貸してくれた。一応見本誌は亜矢からもらったが、湊人に見られたくないので今は自分のアパートにある。だが、今は湊人との共同生活中でしっかりとは読んでいないのだ。

でもこんなに人気が出ちゃってもし湊人の耳に入るようなことがあったら全てが終わる予感がして
胸が痛くなった。

ん？なんで胸が痛むの？