君を借りてもいいですか?
「あれ?栞?」

「え?」

パッと顔を上げると懐かしい……いや会いたくない人が目の前いた。

「……先輩?」

「やっぱり栞だ。久しぶりだな〜もしかしてこれを見に来たの?」

元彼の興津先輩だった。

まさかこんなところで会うなんて……もしかして思い出したから再会しちゃた?

「はい」

「栞こういうの好きだったからな」

なんだろう、何もなかったかのように普通に懐かしんでるし、俺はなんでも知ってるって顔。

面白くない。

「実は俺もなんだ」

「え?」

「俺もこれ見に来たんだ。ねえ〜これも何かの縁。一緒に見ない?」

「結構です。人と待ち合わせしてるんで」

これ以上関わりたくない私は視線を外しながら返事をする。

「本当に?まさかと思うけど彼氏とか?」

完全にバカにしてるような言い方。昔はそんな人じゃなかったのに

「そうです。半に待ち合わせしてるんです」

先輩は遠くを眺め私の彼氏らしき人が来るのか見ている。

時間を見ると半を過ぎていた。
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