君を借りてもいいですか?
「ちょ、ちょっと何あのハイスペック。漫画や小説にハイスペックは定番化しているが実在するとは!」

恵梨香の目は白石さんに釘付けだ。

「栞。なんで黙ってたのよ!先手打たないとライバルばかりよ」

圭子は出席者の中の独身女性のテーブルに視線を向けた。

「だから、知らないって。それに先手も何も…観賞用って言ったでしょ?」

「もう!何が鑑賞用なのよ!だったら観賞用じゃない男を私たちが見繕ってあげる」

「だーかーらー。自分で––」

「そうやって逃げようとしてるでしょ。いい?早く結婚して、子供を育てたほうが体力的にも楽なんだって」

圭子と恵梨香は香代たちのお色直しからキャンドルサービスの間、延々と結婚論や子育て論を私に聞かせた。

そこからの余興で歌を歌わなくちゃならないから正直言って疲労困憊。

きっと笑顔なく歌っていただろう。私は2人に贈る言葉も恵梨香と圭子に任せた。

歌を歌い終わり、自分の席に戻ろうとしたがさっきの続きを聞かされそうだと思った私はお手洗いに行くとそのまま会場を出た。
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