君を借りてもいいですか？
「何？大きな声出して」

不安げに亜矢を見ると何か企んでいるようなニヤリとした笑顔を見せた。

「あのさ、白石さんと恋人のふりするならさ〜その事をうちの雑誌に載せていい？」

何を言い出すかと思えばなんて事を言いだすのだろう。

「雑誌に載せるってどういう事？」

すると亜矢は身を乗り出すように説明を始めた。

「これはあくまで提案なんだけどね。栞を偽の恋人に仕立てて縁談話がなくなるまでの話をレポート形式でもよし、ノンフィクション小説みたいにしてもよし。とにかく今回のことを雑誌に載せたいのよ。企画としては超がつくほど面白いよ。もちろん、名前は伏せて仮名で書くわよ。どお？」

「どお？って言われてもそんなこと無理だって！」

私は声を荒げ拒否するが亜矢は諦めるどころか話を続ける。

「なんで？職業だって全て架空のものにするし、こんな漫画や小説のような話が現実に起こるなんてそうそうないよ。いい？この企画が通って、もし読者からの評判がよかったら書籍化するかもしんないんだよ」

これは悪魔のささやきか？

なんだかセールストークのうまい店員に捕まった気分だが、書籍化という言葉に思わず反応し亜矢を見てしまった。
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