君を借りてもいいですか?
そしてテーブルの上に置いた白石さんの名刺を前に、正座をしている私。

連絡して欲しいともらったが、改めてこの名刺の肩書を見て緊張する。だって白石通商だよ。

あれだけかっこよかったら女の人の方からやってくるだろうに…

でもそんな人に縁談話が来ると言うのは自由がないみたいで大変だ。大方、相手の方は日本の経済を支えるような大物のご令嬢に違いない。

うち母が常々私に言う言葉がある「旦那さんになる人は身の丈に合った人を選びなさい」

玉の輿という言葉もあるが、母のいうことはわかるような気がする。

とはいえ今回はガチの恋人ではなく、偽の恋人。

だが頼むにしてもこんなサラリーマン家庭で育った地味な私より、もうちょっとキラキラした女子を選べばいいのにと今更だけどかなり怖気付いてます。

さてどうしたものか…

電話?

私の電話番号は教えてないからいきなりかけても着拒されるかも?

だったらメールの方がいいかも。
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