君を借りてもいいですか？
『白石です。先ほどはご連絡ありがとうございました。メールで返事しようと思ったんですが電話の方が早いかなと思って』

白石さんの声は弾んでいるように聞こえた。

『ところで本当にいいんですか？俺も衝動的にあんなお願いしちゃってちょっと反省してたんだけど…』

「いえ、大丈夫。って言うか私も白石さんに言わなくてはいけないことがあって」

私は白石さんに圭子から男性を紹介しもらうことになっていたが、全くその気がないので断る理由に白石さんと付き合うことになったと言ってしまった。ということを話した。

「まだちゃんと決まってない段階で勝手に白石さんの名前を使ってしまってごめんなさい」

『全然いいって。持ちつ持たれるだよ。じゃあ改めて無茶なお願いをしてしまいすみませんが、よろしくお願いします』

「いえ、こちらこそよろしくお願いいたします」

スマホを耳あて正座して見えない相手に頭まで下げてしまう私。

だけど、偽の恋人が私の想像をはるかに超えることになるなんてこの時の私は全く予測もしていなかった。
< 40 / 115 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop