君を借りてもいいですか?
「え〜〜。マジウケるんですけど」

「だったらもう言わない」

湊人と初めての打ち合わせ?!から3日後、私は亜矢と打ち合わせという名目のランチをしている。

雑誌の企画が通ったためだ。

あの日の出来事を簡単にまとめたものを提出し、細かい部分は口頭で説明したらいきなり大笑い。

「ごめんごめん。だって久しぶりの外泊がいい大人がラブ感まったくなしでお互いの生い立ちを話すって何?」

「あのね。ラブなし前提なの。それに相手のことをちゃんと知っていないといざって時にボロが出るじゃん。でも面白かったよ。だってセレブの話が聞けたんだもん。サラリーマン家庭にはないことばかりだったしね」

そう、湊人と私は同じ国に生まれただけでその中身はまったく違っていた。

生まれた時から大きな家に住んでいることが当たり前。学校もエスカレーター式の名門校。だが、そんな与えてもらうだけの生き方が嫌になり、大学生の時に家庭教師のバイトを始めた。その1号がのちの香代の旦那様。

就職はもちろん自分の親の会社に入ることは決まっていたらしいが、4年の時大学の友達4人とIT関連の会社を起業したそうだ。

もちろん親は大反対したけど、会社が安定したら必ず白石通商に入るからと親を説得した。そして湊人の会社は4年で社員50名を抱える企業へと成長した。

そして2年前、会社を友達に託し、白石通商に入社し現在に至る。
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