君を借りてもいいですか?
それから美術館を出るまでのことはあまり覚えてない。

絵を見ても全く頭に入らなかったからだ。

まさかこんなところで会うとは…しかし素敵なお嬢様だった。

もしかしたら湊人だって、彼女に会えば考えが変わるかもしれない。

そしたらこんな人を騙すようなことをしなくても済むと思うんだけど…



湊人と次にあったのは私の仕事が休みの前日だった。いつものように…と言っても2回目だけど仕事が終わる頃に迎えにきてくれた湊人。

「ありがとう。でも仕事は大丈夫?」

「大丈夫。ちゃんと定時で上がれるように仕事はしっかりやってるからね」

さすが次期社長だ。

そして車に乗ってすぐに美術館で結愛花さんと遭遇したことを話し、一度会ってみるのもいいのでは?
案外、湊人のどストライクかもしれないよ。と言ってみたんだけど…

「無理」
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