君を借りてもいいですか?
「栞、買うものはこれだけ?」

電話を終えた湊人が私の買い物かごをさっととった。

「うん……ってか、かご、返して。自分で払うから」

「いいって今回は俺が無理やり誘ったんだからこれくらい払わせてよ」

いやいや本当なそんなんじゃなくて

「下着入ってるから」

絶対に恋人同士の会話では無い。それにいくら未使用でもパンツは見られたく無い。

すると湊人は「あっ!そっか」というと男性用の下着をさっと選んで買い物カゴに入れた。

そっちかい!

「そうそう。今夜泊まるとこ決まったよ。と言ってもううちが贔屓にしている旅館だけどね」

贔屓とかさらっと言っちゃうところはさすがセレブだ。ついていけない。

もしかして私の課題は、このセレブのやることにいちいち驚かないことかもしれない。

慣れる気が全くしないけど…
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