君を借りてもいいですか?
コンビニを出て車は高速道路に入った。

車を持っていない私は高速道路を走る車がどこへ向かっているのか全くわからない。
しかも夜だから景色もわからない。ただやたらとトンネルが多くて目が疲れる。

私何やってんだろう。

温泉って言われても観察とか割れたら全くワクワクしない。

それなのに私ったらちゃっかりコンビニでお泊りセット買っちゃってもう何やってんだか?

そして車に乗ること2時間半。21時をすぎていた。

「もうすぐ着くよ。一応夕食は頼んであるけど、こんな時間だから期待しないで」

「は、はい」

草や木しか見えないところを走っていたが、急に明かりが見えてきたかと思うと少しずつ賑やかになってきた。

そして大きな建物が急に現れる。ホテルだ。でも車はホテルの前を通り過ぎ、街から少し離れた旅館の前で止まった。 

古い旅館のようだが、さっき通り過ぎたホテルとは比べ物にならない格式の高い旅館というのはその門構えでわかった。
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