君を借りてもいいですか?
そんな私を見て湊人がクスッと笑った。

「な、何?」

「ん?嬉しそうに笑った顔がかわいいなって思って」

何気にさらっと言ったが、かわいいだなんて言われたことないし、だいたい私はもう30にてが届く年齢。

びっくりしてぽかんと口が開いたまま固まる。

「湊人坊ちゃん、素敵な方を見つけましたのね」

「でしょ?」

私が驚いている固まっている間に、すごい会話してるじゃない?!

なにが「でしょ?」なの?

「私は––」

「やっと見つけた僕の彼女なんだ」

やっと見つけた彼女?違うでしょ!やっと見つけた代役の間違いですからっ!

開いた口は客室に入るまで塞がらなかったが、意に反して私はドキドキしていた。
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