君を借りてもいいですか？
湊人は縁談を白紙に戻したいという目的のため私を選んだ。

偽物なんて簡単にいうがその中身は全て「嘘」だ。

その嘘を本当のことのように見せるたさらにたくさんの「嘘」を塗り重ねる。

でも人って嘘ばかりついていると嘘と本当の境目がわからなくなる。

といっても私も人のことを言えないけどね

だって、私も彼を利用しているから…

私たちのことが雑誌に載ることを湊人は知らない。

怖いのは嘘というのはどんな形にせよバレるのだ。

偽の恋人も雑誌の記事になることもいつかバレる時が来るかもしれない

私はそれが怖い。

「そこは割り切らないと苦しむよ」

「うん」

亜矢のいうことはすごくわかる。

「栞は納得できない部分があるかもしれない。当事者だからね。でも映画も漫画も、ドラマも小説もみんなフェイクだよ。そのフェイクで胸がキュンとしたり感動で涙するのも事実。あまり深く考えないほうがいいよ」

確かに亜矢の言うことも一理ある。

だけど、人の気持ちは日々変わるもの。

今日まではおひとりさまがいいと思っていても明日も同じ気持ちとは限らない。

怖いのはいつかバレるのもだけど、もう一つ…自分の気持ちに変化が起こるかもしれないという怖さかもしれない。
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