きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
Book 11
「幸棲夢」
「……井筒さん」
バッグの中をを探って、家の鍵を取り出していたわたしは、突如、暗闇から聞こえてきた声にびっくりして振り返った。
門扉の陰から、原さんが現れた。
……どうして、ここへ?
「井筒さん……もう一度、ちゃんと話を聞いてくれませんか?」
……やっぱり、この界隈に出没するって言ってた「不審者」は原さんだったの!?