きみの左手薬指に 〜きみの夫になってあげます〜
「あ、あの……今日で区立図書館も辞めたし、もう原さんとはなんの関わりもないはずなんで。
……失礼します」
わたしはあわててそう告げて、門扉を開けて足早に家の中へ入ろうとした。
だが、しかし……
次の瞬間、手が伸びてきて、わたしの手首が、がっ、と掴まれた。
「な、なにするんですか……っ⁉︎」
わたしは振り解こうとしたが、いかんせん女の力だ。男の人にひとたびがっちり握られたら、太刀打ちできない。