突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜

突然のことに、原さんの手が緩んだ。

わたしは今度こそ、その手を振り払って、シンちゃんの胸に飛び込んだ。

シンちゃんはすぐさまその長い腕で、ぐっ、とわたしを抱きしめてくれる。

「……僕の妻に、なにをしてるんだ?」

シンちゃんは凛としたよく通る声で、原さんに問いただす。

「王子さま」から「皇帝」になった声だ。

普段のやさしくて温かみのある風情はカケラもなく、そこにあるのはただ冷徹な威圧感だけだ。


「櫻子になにをしている、と訊いているんだ!」

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