突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
シンちゃんの声が辺りに響き渡って、界隈の人たちが何事かと表に出てくる。
一番早かったのは、やはり隣の山田のおばちゃんだ。
「……警察を呼ぶ」
シンちゃんはわたしを抱きしめる方とは反対の手で、スーツのポケットからスマホを取り出した。
それまで固まって動かなかった原さんが、雷に撃たれたかのように、びくっ、となった。
「……いや……僕は……ただ……」
そう口の中でもごもご言いながら、後ろを振り向き、足早にその場を去って行った。