突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜

「櫻子ちゃん、大丈夫かい?
かわいそうに。よっぽど怖い思いをしたんだねぇ。顔がまっ(つぁお)だよ?」

山田のおばちゃんが駆け寄ってきて、わたしの背中をやさしく撫でてくれた。
わたしは、うんうん、と何度も肯いた。

「山田さん、ご心配をおかけしてすいません。
櫻子をすぐに(やす)ませます」

シンちゃんが目を伏せて言う。

「うん、そうしな、そうしな。
だけど……あれが『不審者』だったんだねぇ」

おばちゃんは原さんが去って行った方を睨んだ。

「『相手』がだれだかわかったので、警察に連絡して、もう二度とこんなことをさせないように対処しますよ」

「そうだね、ぜひそうしとくれよ。
……だけど、櫻子ちゃんがどうもなくて、ほんとによかった。シンちゃんがいてくれて助かったよぅ。女のあたしにゃあ、手に負えなかったかもしんないよ」

ご近所への対応はおばちゃんに任せて、わたしたちは家の中に入った。

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